暗室は自宅と別にある。繁華街の雑居ビルの3Fだ。
以前使ってた木造暗室があまりに揺れるので3年前にココに引っ越ししてきた。建物が揺れると露光ブレする。息を止めて15秒が限界だった。よくもまあそんなとこで16×20を焼いてたもんだと我ながら関心する。確かレンズは開放から一段絞っただけで露光10秒程度に抑えた。10秒じゃ慌ただしくて覆い焼きもできない。16×20の露光は11×14の約2倍なので普通なら30秒〜40秒目安くらい。レンズ絞りもボクはF22からF16で焼いているところF8。ムカシ瀬戸さんは目一杯絞れって言ってた。確か大道さんもそうだったかと。暗室技術は写真家によって様々なのでこの辺を聞くのも面白い。
さて、この暗室は揺れなくて快適。何分でも露光できるよ。この雑居ビルは駅から徒歩1分の好立地。夢の雑居ビル。田舎者にとって松田優作が探偵のアジトで使っているような繁華街の雑居ビルが憧れだったわけですよ。1998年の映画「不夜城」の金城武のアジトとか。ただ、繁華街の雑居ビルといえば色んな弊害もある。夕方からは階下の居酒屋の騒ぎ声やスナックの下手くそなカラオケ、魚を焼く匂いが換気扇を逆流する。あくまで「アジト」であって住環境はよろしくない。まあそれでも人付き合いは嫌いなくせに寂しがりやなので、こんな賑やかな場所がホッとする。定着液がなくなっても駅まで1分、新宿ヨドバシ本店まで2駅、10分もあれば買いに行けるこの場所は貴重。貴重なんだけどもこの場所の使い方を変えなきゃならない危機が迫ってきた。