Shovelog

Snow Lights Films

この部屋から見えるもの

 

古めかしいマンションは冷えてきた。古い戸建てほど底冷えはしないけれど夜は暖房が必要になってきた。ガスストーブに火を入れる。古めかしいマンションでは気密性が低いので以前は灯油を使っていたけれど隣にあったガソリンスタンドが廃業してからは灯油の買い出しが面倒となってしまった。

仕事場に京都から九条ネギが細長い段ボールで届いた。一束お裾分けをもらったけれど一気に喰うには量が多すぎるので半分にして鍋にぶっ込んだ。結果、白菜よりネギの方が多い贅沢な鍋になった。食べ終わる頃には汗だくとなりガスストーブを消した。窓を全開にして空を見上げると朱色に光る極細の三日月が古めかしいマンションとビルの隙間に沈もうとしていた。この部屋から東京タワーは永遠に見えない。

一昔前だったらちょっと耳が痛いかもしれない、自分も含め当てはまる人はたくさん居るような気がする現代物語。大変興味深く読んだ。

 

頑張りすぎない平均的人生とか言いながら実は虚栄心と物欲で一杯の現代日本人。おれは特別な存在なんだという根拠のない自信と夢ばかり見ていていつの間にかおじさんになってしまった謎プライド族。どうしても一歩先に踏み出せない頭でっかちな理屈オタク系。高学歴なんだけどいつまでも国立落ちのコンプレックスを持ち続けているネガティブ卑屈族。周りを見てみればそんな人ばかりかもしれない、でもどんな人でも悩みの数は同じなんだよ、愛すべき東京人諸君。

 

 

にほんブログ村 にほんブログ村へ