Shovelog

Snow Lights Films

機械のやうな担当者




ある不動産契約をしようとしていた。ボクの担当者は女性だった。二十代後半だろうか端正な顔立ちだけれど髪は長く妙に茶色で、それが原因なのだろうか都会的には見えずどうにもあかぬけない雰囲気だった。彼女は現場立ち会いでも書類でも、説明される中でボクが一瞬繰り出すくだらない冗談や世間話にもまったく切り返しがなく、終始能面のような顔のままだった。先方にしてみれば貴方のようなおっさんとは無駄口をききたくないという態度は分からないでもないけれど、この先何度か顔を付き合わさねばならないのだから少しは和んでもよいのではないかと思ったりするのは中年男の我が儘なのだろうか。中年だって人間だもの。この日、彼女とは二度目の接見だったけれど、1時間半の間、一瞬でも人間らしさを見る事がなく、勿論一度も笑顔を見る事もなく、ごく極めて事務的に話は終わった。

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