Shovelog

Snow Lights Films

あの頃の買い物

 

 

あの時買っておけばよかったものというのはたくさんある。売り切れて買えなくなってしまった限定品や、二度と手に入らなないビンテージ物や、相場が高騰して買えなくなってしまったもの。フィルムカメラで言えばオリンパスμIIを予備でもっとたくさん買っておけばよかったなんて思う。車もそんな車種がたくさんある。なぜだか今はポルシェが猛烈に欲しいけれど、もはやサラリーマンでは手が出せない金額となってしまった。若い頃、無理すれば買えた200万円台だった964は今や1000万円を楽に超えている。当時は若者が964に乗るなんておっさん臭く感じて選択肢に入っていなかったのである。古いが偉いと思っていた頭でっかち青年はナローポルシェ以外はポルシェと思っていなかった生意気野郎だった。当時、安いナナサンカレラは350万円くらいで買えた気がする。死に物狂いで頑張れば買えそうな値段でありフェラーリより断然身近だった。それが今や1億超えとなってしまった。

そんなハタチの頃、友人Iがちょっとボロのナナサンカレラを買った。アホかと散々貶してしまったけれど正直羨ましかった。当時のボクはミニ1000を維持するのが精一杯だったのである。それまで実車をあまり見たことがなかったボクはナローといえどもデカイ車体をイメージしていたのだけれどその小ささに拍子抜けした。サイズだけならカローラより小さいぞとIが言った。その73カレラはとにかくうるさかった。爆音レベルの甲高く乾いたエンジン音はボクの初めての空冷フラット6エンジンの強烈なポルシェ体験となった。そしてコイツに勝つにはロータスヨーロッパを買うしかないなとちょっとだけ真剣に考えてしまったサーキットの狼世代である。

あれから30年、彼はそのポルシェはもう手放しただろうか、実業家の息子だったから今はきっと後をついで社長となり、992ポルシェを乗っていることであろう。
さて、今、当時に戻ったとしてポルシェを買っていたかと考えれば答えはノーである。今欲しいものと当時欲しいものはやっぱり違うのである。もし本当に当時に戻れるとしたらどうするか、後年に買ったクーパーSを大切に維持するように努めるであろうと、、、そんなあり得ない妄想を巡らす梅雨空の土曜日である。

 

 

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