男は急いでいるようだった。キョロキョロしているのは視界に入ったけれど、横を通り過ぎる際に目が合ってしまった。スパニッシュ系と思われる髭面の男はボクの前に立ち塞がり、トコマエはどこだ？と言った。やや慌てた様子でトコマエ、トコマエと大きな声で頻りに言った。ボクがオトコマエなのは解るけれどトコマエは理解できないと言うと、彼はアイフォンを見せて、ここだ、トコマエステイションだと言った。路線図はマゼンタのラインで"ooedo-line tochomae" 大江戸線の都庁前駅の事だった。ほんの50メートル先だったので教えてやると手を上げて走って行った。昔からそうだ、英語もまともに喋れないのに何故か異国の人によく道を聞かれる。近年はお互いスマホで受け答えができるから随分楽になった。しかし都庁前がトコマエとは新たな気づきであり、トコマエという響きも何とも日本らしくて可笑しくて、ボクも何度もトコマエトコマエと呟きながら新宿に向かった。
4年ぶりだとあちこちでお祭りが復活。淀橋熊野神社に立ち寄ってみる。大して美味くないって分かっていてもつい買ってしまうお好み焼きとじゃがバター。しかし懲りもせず今週末は代々木八幡のお祭りで豪遊するつもり。
