仕事場の応接ソファを買おうと、ホームセンターの2Fにある家具屋さんに出かけた。オフィスのソファといえば革張りだ。イKEAやNトリではなく、何故かここだった。黒や茶の革を露払いにして、フロアの一番いい場所に展示されているライトグレイのソファが気に入った。値段を知りたくて店員を呼ぶと仕立ての良いストライプのスーツを着た男が担当した。男は胸のポケットから出した銀縁のシニアグラスをかけてiPhoneの電卓で計算して見せ、「今日ご注文いただければ11月中に納品できます。明日以降ですと船便の関係で年末になってしまいます。」と言った。年齢にしてはスタイルが良く、靴は黒のダブルモンクを履く小綺麗な男はこのフロアでは支配人クラスであろうか、矢継ぎに質問をする私たちへの受け答えも非常にスムーズだ。このフロアで一番上質そうなこの輸入ソファは香港製の受注生産だった。ヨーロッパ製より格段に安いのであろうが、香港ルートを持つこの男は、わずか1時間あまりで60万円の売り上げを達成した
