風は冷たいけど日差しは暖かい。午後の日差しを浴びながら青山墓地沿いをゆっくり下りていく。10分ほど歩いた先にオフィスはあった。余裕を持って15分早めに出たので階下でカバンを下ろし、コロナ騒ぎでもあんまり交通量の変化の無い外苑西通りをぼんやりと眺めながら煙草を吸う。指定のフロアに上がると、決して広くないオフィスは多言語が飛び交う空間、インターナショナルですごい活気である。真っ先にカタコトの日本語で名刺を交換した副社長という若い女性はどこの国に人かもわからないけどキラキラしている。ボクの担当者は元気いっぱいで日本人らしからぬオーバーアクションはいかにも帰国子女といった感じの女性だ。
この騒ぎで行き詰まった業界に、違う道のあかりを灯したこの企業に少しだけ元気をもらう。帰りの乃木坂の駅で、パンツのファスナーが空いていたのに気が付いたけど、そんな小さな事は彼らは見えていないだろう。
