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プラウベルマキナ67 故障と修理

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マキナ67はその構造上頑丈なカメラではないです。
オーバーホールしたし、蛇腹も交換してあるから大丈夫だよって?
いやいや、ジャジャ馬ですよ、整備したばかりなのに壊れたってリペアマンにあたってもどうしようもない、外観は美しくとも内部の各パーツはどうしても経年劣化しているのです。このあたりは運もあるんでしょうかね。まあ、月に数本しか撮らないって人は大丈夫かもしれませんが・・・。
私の場合、OH後、1年ほどでシャッターが不調に。蛇腹も新品交換後、5年しか持たなかったです。年間200本〜300本ペースでかなりハードに使ってるから仕方ないと諦めています。
とにかくデリケートなカメラです。ドイやマキナサービスが現役だった頃はガンガン使えたかもしれませんが、製造から30年を超え内部部品も経年劣化し、その複雑な構造故、直せる修理店が限られてきてしまってる現在ではハードに使う人にはおすすめできないカメラかもしれません。しかしながら多くの著名な写真家に愛された機械ですから一度は使ってみたい、どうしてもコレしか使いたくない!って方もいらっしゃると思いますので、少しばかりですがボクが経験した故障を記しておきます。

巻き上げギア破損
巻き上げギアの破損です。撮り終えた後の完全巻き上げでロール裏紙の留め帯などがひっかかりやすく、無理に巻き上げようとするとイカれます。巻き上げが固く感じたら危険、暗室に戻って裏蓋を開けましょう。

シャッターレリーズ故障
マキナはシャッターを押した時にカシャ、指を離した時にチャッ、と音がします。
指を離した際に音が出なくなるのはレリーズワイヤー不良かレリーズ故障です。
シャッター自体が無事であれば写真は撮れていますが、壊れる前兆。早急に修理が必要です。この症状の場合、Bでシャッターを切った場合、高速で切れてしまいます。

シャッターチャージ故障
巻き上げと同時にシャッターチャージをします。巻き上げはできるけれどシャッターが押せない状態はチャージできない状態。このとき巻き上げレバーは非常に軽くなります。シャッターチャージのワイヤーが経年劣化で断線、もしくは外れてしまった状態です。フィルムが撮影途中の場合はやはり暗室で取り出しましょう。


シャッター粘り
珍しい故障で、1速のみ、1/60のみ粘ってしまいバルブ状態になってしまう現象がありました。その他の速度は使えるのですが、シャッター全体の故障に繋がるので即修理。

蛇腹交換
まだ新品交換は可能なようです。ボクが最初に蛇腹交換した頃は”今後もう蛇腹は出ないかもしれないよ”って言われてビビってだけど、最近ではフジGF670と同じ日本メーカーNABELの蛇腹で対応してくれるようです。ピーカンや強い光の出る条件でゴーストが出てくるようになったらピンホールが怪しいです。撮る本数が多いと何度も蛇腹の開閉があるのでその分痛みやすくなります。蛇腹を出しっ放しで歩き回るのはレンズが重くてタスキに無理な負荷がかかるのでどうしても一旦蛇腹を畳むことになり、当然撮影コマ数が多いほど蛇腹に負担がかかります。この蛇腹の欠点は畳むとコンパクトになるというスペックと引換の諸刃の剣でもありますかね。


フィルム室フィルムテンションバネ破損
フィルム室の右側にあるフィルムをホールドする板バネの破損。
巻き終えたフィルムの取り出し方が乱暴だと引っかかって破損します。引き抜く際にロールフィルムの上フランジがバネに引っかかるのです。何度も繰り返していると、この板バネが折れます。交換は可能ですが、内部までバラさなければならないので厄介です。

ストラップホール外れ落下
ストラップ金具はフィルム室からアクセスできる場所に細ネジで固定されていますが、細ネジの脱落によりストラップ金具が外れ、最悪落下させてしまいます。細ネジはロックタイトなどで締め直しが必要です。
ちなみにストラップ金具が外れた場合、フィルム室に光が入ってしまうのでそのロールはオシャカとなります。踏んだり蹴ったり泣きっ面にハチです。

裏蓋ロックキー破損
フィルムスリップによるコマ飛びが激しくなり、診断してもらったところ、裏蓋に原因が。裏蓋ロックキーの破損との事で交換。部品取り寄せには時間がかかりました。


露出計配線断線
露出計は基本的に使わないですが、あるものが点かないのも忌々しいので、オーバーホール時に修理してもらいました。タスキの中で断線しかかっていたとの事、露出計は時々反応したりしなかったりな症状。


フィルム室左側モルト破損
裏蓋を開けた際にヒンジ側となる部分のモルトに負担がかかります。この部分の交換。


マキナ67のキャップの代替え
マキナ67のキャップが割れて困っている人はたくさんいらっしゃるかと。かくいう自分もポケットから道路におむすびころりんでタクシーに踏まれてペッタンこ。
そんな時は八仙堂さんのかぶせ式レンズキャップがぴったりです。
サイズは87-88ミリ用。金属キャップなので軽快感はなくなりますが、フロント周りの保護はこれで安心。

【八仙堂】 カブセ式 レンズキャップ 外径87〜88mm用 黒色

 

シリアル番号
50番台から52番台のごく前半まで67の採番。この後670はすべて52番台。67に限って言えば51後半が安定してると言われています。個体差があるかと思いますがボクにはこの違いがよくわからない。実際に手持ちの51番台より50番台の方が調子が良かったりするから一概には断定できない、これは修理する人のみぞ知るといったところでしょうか。巻き上げトラブルが多いマキナですが、じゃあ2ストロークになった670の方がいいかと言うと、670は巻き上げレバーが若干薄くなっているらしく、長年の負荷により稀に折れるという事象が発生しているようです。これが折れると新品部品は無いため、ただでさえ生産台数の少ない670の部品取りを捜さなくてはいけないという恐ろしい事になります。巻き上げレバーにクラックが入っていないかは重要なチェックポイントです。


その他
ファインダー清掃、オーバーホール、点検調整、グリスアップなど、定期的なメンテが必要になってきます。私は2、3年に一度オーバーホールをしています。
マキナは構造が複雑というのもあって修理費用は高めになります。

何と云われようと絶対マキナだ!あの唯一無二なカタチがいい!という人以外でロクナナ機が欲しいと云われればボクは迷わずGF670をおすすめします。昨今は中古価格が高騰していますが、マキナ67の修理代を考えれば高くない(?)。あとは重いけどバケペンもあるし。バケペンで105mm f2.4は使ってみたいですね。もしくは、フィルムも高くなったしペンタ645NIIという選択肢も視野に入れたらいかがでしょう?
マキナの中判ニッコールの描写は抜群ですが、そんな違いがわかるほど大伸ばしでプリントしますか?F2.8なんてピン浅すぎて使いませんよ。フジノンも十分高性能です。
その昔、友人が使わなくなったGF670を店頭買取価格(ヒト桁万円!)で買ってくれないかと持ちかけられたのですが、ちょうど引越し金欠で丁重にお断りしてしまったのが今でも悔やまれます。今や30万円ですからね・・・。
しかしGFの電子シャッターの感覚が好きになれないのは本音・・・いや、負け惜しみです。


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